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60年代国産デニム黎明期/Japan Vintage Denim①

お久しぶりなブログです。
コンシです。
 
 
ハラノムシは5/1 礼和元年の幕開けと同時に
4周年を迎えます。
 
周年では特別な入荷企画をいくつかご用意しています。
今日はそのうちの1つについて。
 
 
 
 

Japan Vintage Denim!!!!

 
 
 
デニムといえばリーバイス。
歴史、クオリティ、様々な観点から見ても
リーバイスはデニムメーカーの頂点として揺るがない位置を確立しています。
 
皆様ご存知の通り、リーバイスはアメリカで生まれたメーカーです。
(ちなみに、創業者であるリーバイはユダヤ系ドイツ人の移民です。)
デニムの語源はヨーロッパで~とか色々あるんですけど
インディゴ染めのワークウェア、所謂デニムパンツがここまで広がったのは
リーバイスの剛健なモノ作りと戦略によるものです。
 
 
では、日本におけるデニムの歴史とは?
 
そこにはリーバイスが日本に輸出した、だけでは終わらせることのできない
複雑な物語が絡み合っています。
 
今回ハラノムシ、、というより、僕自身のエゴですね。
僕はハラノムシの名を借りて、古着市場では決して広く認知されていない
国産ヴィンテージデニム の魅力を皆様に提案していきたいと思います。
 
この魅力を伝えるにあたって、3つのブログを書く予定です。
今回は~1960年代、国産デニム黎明期について。
それではよろしくお願いいたします。
 
 

初めて日本にデニムが来た日

 
ジーパン。デニムパンツの和製英語。
Jeans Pants の略ですね。
しかし、日本の【ジーパン】という言葉にはもう一つの意味があります。
それは、G.Iパンツ。略してGパン。
G.Iとは米軍のことです。
1945年、敗戦国の日本に駐在する軍兵が履いていた不思議な藍色のパンツは
やがて闇市で流されるようになります。
これが、日本で初めて一般層にデニムが広く流通したきっかけです。
日本で好んで履かれていたのは
新品ではなく、履き込まれた古着のデニムパンツでした。
 
1940年代後半はまだ敗戦の影響で物資が不足しており
安価で購入できる米軍の払い下げ品、中古品が人気でした。
そんな中、デニムを日本人の体形に合わせてリサイズする商店が登場します。
この時代、「EDWIN」の前身である常見米八商店はアメリカから輸入したデニムを
補修してアメ横等の中古市場に卸していたと言われています。
 
 

50-60年代、経済の成長と浸透

 
1950年代に入ると、日本は
高度経済成長期を迎えます。
50年代も半ばに差し掛かる頃には
「もはや戦後ではない」という言葉が生まれるほどに
日本は技術の復興と生活の余裕を手に入れました。
 
そして1960年代、日本デニム史にとって
大きな起点となる年があります。
東京五輪の前年である1963年。
この年は貿易自由化となった年です。
 
既に日本ではデニムが市民権を得ていますが、流通しているのはアメリカの中古品ばかり。
自由な輸入が許されたタイミングで、アメリカからデニム生地を輸入し
新品のデニムを製作する会社が現れるのは、ごく自然な成り行きだったかと思います。
(この時点で、日本が自国でデニムを開発する技術は無かったといわれています。)
 
動いたのは、大石貿易という会社でした。
大石貿易はアメリカのキャントン社と契約を交わし、デニム生地を輸入します。
生地だけではなくリベットやジップ等のパーツ、デニムを縫製するためのミシンもアメリカから輸入しました。
製作においてパターンのベースとなったのは勿論アメリカのデニム(恐らくLevi’s 501XX)。
解体と研究は繰り返されます。
この縫製を担当したのはマルオ被服、現在のBIG JOHNです。
 
目指していた物は
アメリカに対してとても誠実なレプリカデニムだったかと思います。

 
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同年1963年、日本初の「デニムメーカー」として、新品のデニムを発売しました。
ブランド名は「CANTON」。生地輸入元の名前まんまです。
そういうの、悪い癖やと思いますが、一先ずCANTONも黙認してくれてました。
 
 

1967’s “CANTON SALTY DOG” Winch:29-30
 
 

 
しかし、うまくはいきませんでした。
 
新品のデニムって、固いですよね。
今でこそ「育てる」魅力が認知されているからリジッドデニムが人気ですが
当時の日本人の多くが求めているデニムのイメージは
「履き古された」柔らかいパンツでした。
 
初の国産デニムとして発売された「CANTON」のデニムは
新品の生地を使っているのでゴワゴワしていて固く、
日本の消費者が期待していたデニムとは掛け離れたものでした。
 
 

1970’s “X-WEST CANTON”
こちらもCANTON社のデニム生地を使用した国産ヴィンテージデニムですが
大石貿易のCANTONとは別物です。
 
 

 
日本で新品のデニムを売るにはどうしたらいいか。
その答えは「履き古した加工をする」事でした。
CANTONは縫製した後に一度洗いにかける「ウォッシュ加工」を施したデニムを展開すると
瞬く間に火が付き「新品」のデニムシェアをみるみる内に拡大していきます。
 
日本のデニムは「加工」から始まった。
 
アメリカのレプリカデニムを作る事に尽力した日本のメーカーが
世界で初めて「加工」に着手していたという話。
 
 
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このように、日本で一番最初にデニムを製作したメーカーは
CANTONであるという説が一般的です。
しかし、CANTONという名前を聞いたことの無い方も多いかと思います。
それもそのはず、CANTONは僅か5年でブランドを終了させています。
(その後、何度か復刻されています。)
 
 
何故か。
生地輸入元のキャントン社から、名前の使用権を払えと揉めたせいです。
当然です。勝手に使うのは悪い癖です。
そのまま伝説となったCANTON。大石貿易はCANTONに変わるブランドを設立します。
 
 

BIGSTONE

 
 

1960-70’s “BIGSTONE” 
 
 
 

大石貿易だから、BIG STONE。
CANTONの命名にもいえることですが、基本的に単純で明快な事が好きなんだと思います。
しかし侮るなかれBIG STONE。
 
 

BIG STONEの生地はキャントン社の物ではなく、コーンミルズ社の物を輸入、使用しています。
実は、大石貿易が本当に使いたかったのはコーンミルズ社の生地でした。
1963年当時も、コーンミルズ社に蹴られた結果キャントン社の生地を輸入していたのです。
 
何故コーンミルズ社に執着心を見せるのか。
それは、リーバイスの生地もコーンミルズ社の物だからです。
 
そして1968年頃始動したBIG STONEの初期には
傷の入ったB反ではあるものの、
リーバイス(XX→BIG E移行期頃)と全く同じ生地が使われていた。。。という説もあります。
 
リーバイス優位な書き方になってしまいましたが
兎に角、その色落ちは限りなくリーバイスに近いと言えます。
 
 
 
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閑話休題。
 
国産ヴィンテージとアメリカヴィンテージの違いですが
玉数は国産の方が少ないです。
まずは国土の違い。日本は狭い。狭ければ流通数も限られますよね。
そして、当時の日本はリサイクル文化が根付いていませんでした。
戦後の物資不足の頃は中古品が人気だったことは上の方で書きましたが
経済成長を迎えた日本には新しいものがどんどん入ってくる様になります。
ヴィンテージデニムという概念も根付いておらず、着なくなった服は結構燃やされちゃってたみたいです。
 
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僕がBIG STONEに惹かれる理由ですが
 
①に色落ち。これは先ほど書いたばかりですが
ヴィンテージリーバイスに引けを取らない、美しくも強かさのある佇まいです。
そもそもなんで古い方が良い色落ち(メリハリのある色落ち)
をするのかという話ですが
1970年代中盤から効率やコスト面によりインディゴ染料の配合や染料技法が変化します。
リーバイスで言うたら66前期・後期の違いですね。
 
②に価格面。
30万円するリーバイスのヴィンテージデニムに引けを取らないものが
3万円で買える。
これ以上の説明はありません。
 
そして③の理由。
古着のメインストリームはアメリカ物です。
国産古着はマイノリティなジャンル。

良くも悪くも情報過多、物質過多な現代社会。
なんでも取捨選択できる時代だからこそ
大多数が知らない、限られた人だけが知る魅力
[国産ヴィンテージ]
が、一層輝いて見えました。
 
 
 
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以上が、国産ヴィンテージ50-60年代の大まかな流れです。
今回はCANTONを中心に記事を書きましたが、様々なブランドが様々な歴史を持っていて
諸説混濁する泥沼のような国産ヴィンテージ。
 
次回は1970年代の国産デニムを紐解きます。
国産デニム生地の誕生、ヒッピーサイケムーヴ、デニムファッションの多様化・・・
僕はフレアシルエットのデニムが一番好きで、今回の国産ヴィンテージフェアでも
70sベルボトムを大量ストックしています。
是非、店頭でお楽しみくださいませ。
 
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国産ヴィンテージデニムの通販対応ですが、誠に勝手ながら
基本的にお断りさせて頂いております。
サイジングの難しいカテゴリーなので
試着してからお選び頂けたらと思います。
不思議なリペア(フレアからストレート、その逆など)による
野暮を極めたシルエット等、ファッションから遠ざかっていくような
ディテールの物が数多く存在するのが国産ヴィンテージデニムです。
(僕にとって、それが一番の魅力かもしれません。)
 
なので、是非雑居ビル4階ハラノムシで
デニムの沼に浸かっていただけたらと思います。
 
 
お読み頂きありがとうございました。
明日5/1 4周年 よろしくお願いいたします。
 
 

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