古着屋ハラノムシ 大阪・アメリカ村・古着屋・ハラノムシ

70年代国産デニム勃興期/Japan Vintage Denim②


 
 
 
 
コンシです。
4周年企画で大量入荷した’日本のヴィンテージデニム’

皆様にジャパンヴィンテージの魅力を知って頂く為に
紹介ブログを書いています。
 
前回は日本でデニムが生まれた話を書きました。
60年代国産デニム黎明期
 
 
 
前回のブログでスポットを当てたデニムブランド、BIG STONEの紹介をざっくりすると
 
ーーーーーー
1960年代後半~1970年代半ばまで生産されていたBIG STONE。
リーバイスの生地を生産していたUSコーンミルズ工場からデニム生地を輸入し日本で縫製。
生産ラインは異なりますが、BIG E~66前期の生地感、色落ちに非常に近いです。
ーーーーーー
 
 
 

1960’s- “BIG STONE” 
 
 
 

 



 
60年代まではアメリカからデニム生地を輸入して縫製するのが主流でしたが
70年代からは「国産デニム生地」を採用したデニムパンツが広く流通するようになります。
今回は国産デニム生地誕生の背景とデニムの仕組みを解説します。
何故ヴィンテージデニムの色落ちが良いのか?そんな部分まで知って頂けたら。
 
 
 
 
 
 

インディゴ染料

 
 
デニム生地は
①紡績(綿花から糸を作る)
②染色(糸を染める)
③織布(糸から生地を作る)
④整理加工(必要に応じ加工する)
 
以上の4工程を以て生産されます。
 
日本がデニム生地を開発するにあたって
最も苦戦したのは②の染色でした。
 
 
 
染色に使用される染料はインディゴと呼ばれるもので
天然インディゴ合成インディゴの2種類があります。
 
 
天然インディゴは名の通り天然由来の染料で
植物から抽出した成分です。
人類最古の染料と言われる天然インディゴは
日本でも古来より扱われており、’藍染め’
天然インディゴ(藍)を利用する染色技法として
現代まで受け継がれています。

 
 
1880年、ドイツの科学者が天然インディゴよりも
安価で扱いやすい合成インディゴの生成に成功しました。
合成インディゴは画期的な発明として世界中に知れ渡り
1913年頃には天然インディゴの殆どが合成インディゴに切り替わりました。
よってヴィンテージデニムも、天然インディゴではなく合成インディゴが中心です。
 
 
※基本的には合成インディゴに薬剤を加えた染料が使用されており、薬剤の配分で
染色後の色味が大きく変わります。
70年代半ば~後半からデニムの色落ちがのっぺりする要因の1つは
薬剤の配分が変更されていくからです。
変更理由には生産効率やコストダウン等が挙げられます。
 
 
 
 
 

1980’s “BIG JOHN” まだらでのっぺりした色落ち。その鈍臭い感じも好きです。
 
 
 
 
 
 
ーーーーーーーー
小話。
 
現行品のピュアインディゴ100%という謳い文句を聞いて
天然由来の染色だと勘違いされる方が多いのですが、これは合成インディゴ100%という意味で使われることが多いです。(天然由来染めの製品は本藍染めやナチュラルインディゴと呼ばれています。)
ーーーーーーーー 
 
 
 

ロープ染色と芯白

 
  
 
 
日本に伝わる藍染は’枷染め’という染色技法が主体です。 
 
デニムの糸を染める技法は、’ロープ染色’と呼ばれています。
 
おおざっぱに言えば、どちらも
染料に漬け込む→引き上げる→空気中で酸化させる
という一連の工程を何度も繰り返して色を定着させる技法なのですが、
その仕上がりには大きな違いがあります。
 
ポイントは、糸の中心である’芯’の部分です。
 
 
糸の芯まで染める本藍枷染めに対し、ロープ染色の糸は中心部分が染まっていません。
芯まで染まっていないことから’芯白’と呼ばれています。
 
 



 
 
デニム生地とは
インディゴ染めされた芯白の経糸(たていと)と
無染色の白い緯糸(よこいと)による織り布です。
 
着用していくたびに経糸の表面は削れていき、
やがてインディゴで染まっていない芯白の部分が顔を出します。
これが色落ちのメカニズムで、芯まで染まっていないからこそ
インディゴのコントラスト=経年変化を楽しむことが出来ます。
 
 
 
本来、製品の色落ちは解決すべき問題点なのですが
デニムは色落ちするからこそ、美しいコントラストが生まれます。
芯まで深く染め上げる藍染の技術は持っているものの
芯だけ白く残すロープ染色のノウハウは持ち合わせていなかった
国産メーカーによる染色の研究は長年に渡りました。
 


。 
 
日本でオリジナルのデニム生地を使用した
既成品が流通し始めたのは1970年頃と言われています。
 
 
伝統的な藍染の技術を研鑽し染められた
国産メーカーの賜物である青くしなやかなインディゴブルー。
ジャパンヴィンテージデニムの生地を楽しみたい!という方には
1970年代の物をオススメしています。 
メリハリのあるアタリと、白く爽やかに抜ける縦落ち。
年代的にフレアシルエットが多いですが、テーパードになる位置まで裾上げするのも1つの手。

 
 
 

1970’s Japan Vintage Denim
 
 
 
 
 
ーーーーーーーーー
小話。
 
前回のブログで
アメリカに対してとても誠実なレプリカデニム
を目指すところから、国産デニムの歴史は始まったと書きました。
 
やがてデニム生地を国内で生産できるようになると
カイハラというメーカーは海外にも目を向け様々なプランドの元へ足を運び
自社の国産デニム生地をアプローチします。
この時、カイハラはあのリーバイスにも声をかけています。
リーバイスはカイハラのデニムを取引することにしたのですが
「丁度生地が足らんしまぁ日本製でもええか、使ってみたろかな」くらいのノリでした。
しかし完成したジーンズを手に取るとリーバイスの評価は一変します。
「カイハラの生地良いね!」
リーバイスからの信頼を得たカイハラの生地、もとい国産デニム生地は
国内外で一気に広まっていきました。
 
誠実なレプリカデニムは、遂に本家から認められました。
1973年の出来事です。
 
 
。。。
国産デニム生地の評価は徐々に高まっていたものの
当時の日本では国産品よりも舶来品、アメリカ製の物が人気だった為
多くの国内メーカーは国産生地である事を強く打ち出さずに
まるで舶来品であるかのような立ち振る舞いの商品を生産していました。
 
 

1970’s EDWIN 滅茶苦茶USを主張してる。
こういう捻じれた背景から生まれたデザインも魅力の1つです。
 
 
ーーーーーーーー
 
 

 

織り機の話

 
 
 
最後に、簡単ではありますが織り機についても触れたいと思います。
 
 


 
糸を生地にする為の織り機ですが
シャトル織り機と革新織り機の2種類があります。
 
 
どちらの織り機も、インディゴ染めの経糸に
白い緯糸をくぐらせて生地を織っていきます。
 
シャトル織り機は
その名の通りシャトルという道具を使います。
緯糸を巻いたシャトルを何度も往復させ織っていきます。
体育の時間にやったシャトルランを想像してください。
 
 
革新織り機は風圧や水圧を利用して緯糸を飛ばし織っていきます。
シャトルランをやってる隣で野球部がキャッチボールをしています。
必死に走るあなたよりもボールが往復するスピードの方が圧倒的に速いですね。
 
また、革新織り機は
シャトル織り機に比べて2倍の生地幅を織ることが出来ます。
合成インディゴと同じで、効率の良い革新織り機が中心となり、シャトル織り機は
姿を消していきます。
 



しかし、高品質な製品を追求し続けるデニムブランドの多くは
効率の悪いシャトル織り機を今尚使っています。
 
 
 
 
1990’s ‘vintage replica’ denim Pt  Made in Japan 
 
 
革新織り機はスピードが速く、正確に糸を打ち込めるよう
強いテンションをかけて織るので、綿糸の凹凸はフラットな状態で仕上がります。
フラットな生地であれば当然色落ちも均質的なフェードを辿ります。
古着屋でよく使うのは「のっぺり」した色落ちという言葉ですね。
 
 
 
一方シャトル織り機はスピードが遅く、原理は手織りとほぼ一緒で
緩いテンションで織る為、綿糸の凹凸が潰れずに残っています。
凹凸があると、生地が擦れる部分に差が出てきますよね。
凸は早く色落ちし、凹は色が残ったまま。
そのムラがインディゴの強いコントラストを描きます。
 
 
 
1970’s EDWIN 良い面構え。
 
 
 
デニムを育てるなら断然シャトル織り機の凸凹生地を推します。
ざらつきのある固い生地感がだんだんと体に馴染んでいき、奥行きとメリハリが浮き上がってくる様は
ヴィンテージデニム/高品質なレプリカデニムの大きな楽しみです。
ちなみに今回入荷したJapan Vintage Denimは全て育てる事を前提に入荷しています。自信を持ってピックしたので、安心してお選びくださいませ。 
 
 
 
ーーーーーーーーーー
ヴィンテージデニムでよく取り上げられる’耳’って言葉。
セルビッチデニムとも言われています。
リーバイスの赤耳が~、、みたいなの、このブログをわざわざ読むような人なら聞き覚えがあるかと思います。
 
 
 
1960’s BIG STONE 耳付き
 
 
 
耳とは生地の端の部分です。
シャトル織り機は織れる生地幅が小さい為
耳の付いた端の部分も余すことなく使っていました。
革新織り機の時代になると織れる生地幅も大きくなり、わざわざ端を使う必要はないので
耳”セルビッチ”のディテールは自然と消えていきました。
  
注意しなければならないのは
耳付きだから古くて良いデニム生地・耳が無いから新しくて微妙なデニム生地、というのは必ずしも当てはまりません。
耳無しでも良いデニムはたくさんあるし、僕自身、耳に対して強い拘りはないのですが
一つの判断材料として覚えていたら、古着屋に行ったときにちょっと楽しいかもしれません。
 
ーーーーーーーーーーーー
 
 
 
ここまでお読み頂き有難うございます。
このJapan Vintage Denim紹介ブログは
次で最終回にしたいと思います。
次回は70年代のカルチャー小話を交えながら
国産フレアデニムの魅力をお伝えしますので
お付き合いよろしくお願いします。
 
 
コンシ
 
 

1970’s EDWIN このベスト欲しい。

 
 
古着屋ハラノムシ

大阪市中央区西心斎橋2-11-8滝ビル4階
14:00~
木曜定休